B-7000という接着剤

携帯電話修理業者の間でよく使われている、B-7000という接着剤があります。わたし自身、これを入手してから何度もお世話になり、何度も救われました。

"This was a great adhesive."(これは優れた接着剤でした)とか、"Mad fans around the world."(世界中の怒ったファン)など、怪しい英語の数々がチューブに描かれていますが、その実力は折り紙つきです。チューブの先端が細い金属のノズルになっていて、わずかな幅のところにも塗ることができます。キャップには金属の針が付いていてノズルが詰まるのを防ぎます。瞬間接着剤よりは遅いですが十分な速さで固まり始め、完全に固化しても弾力を保っています。この弾力がかなり重要で、アロンアルフアのようにカチコチになる接着剤だと、少しの衝撃で割れてしまいます。

iPhoneの各機種には専用の防水シールがあり、液晶パネル交換でわざわざB-7000を使うことはないのですが、バックパネルを交換する際に出番となります。海外のYouTubeなどを見ても、よく新しいバックパネルをB-7000で接着しています。Android携帯では液晶パネル交換でも専用のシール材が用意されていないのがほとんどで、何らかの接着剤が必要なのでB-7000を使うことになります。

iPadやApple Watchの接着でもその性能をいかんなく発揮します。これらは本来非常に強力なシール材で接着されており、最初にこじ開けるのは難儀しますが、互換パネルに付いてくるシール材では接着力が到底足りません。iPadではタッチパネルの一部が浮いてきたり、Apple Watchではパネルが本体から離れてしまいます。わたしの少ない経験から考えても、B-7000のような接着剤なしにこれらを修理するのは不可能です。わたしが初めて使ったB-7000はApple Watchの交換用バッテリーにおまけで付いてきた小さいチューブでしたし、最近など、付属のシールで接着したApple Watchのパネルがお客様の目の前で本体から離れてしまい、即座にB-7000を使ってくっつけたほどです。

これほど頼りになるB-7000ですが、良いものは必ずコピーされるのがこの世の常であり、わたしが把握しているだけでもBU LAI EN、ZHAN LI DA、SUXUNという3社からB-7000が出ています。B-7000というロゴは異なりますがその他の外見は酷似していて、しかも変な英語まで同じです。そして困ったことに、わたしにはどれが元祖なのか分かりません。わたしは最初のApple Watchの修理ではSUXUNの小さなチューブを、その後はBU LAI ENのB-7000を使っています。ある修理店のウェブサイトではB-7000を紹介するのにZHAN LI DAのチューブの写真を掲載していました。

これまでB-7000を使ったものは再修理になっていないので、どのB-7000でも大丈夫だろうとは思います。中国では高性能なコピーパネルが作れるんですから、高性能なコピー接着剤くらい作れるでしょう。ですので自分で携帯を修理しようという方は、必需品リストの中にどのメーカーでもよいのでB-7000を加えることをおすすめいたします。