当店でコーティングを扱わない理由

おかげさまで当店も店舗の存在が知られ始め、Webでの検索に引っ掛かるようになり、業者様からのご案内もいくつか受けるようになっております。最近では修理用液晶パネルを扱う業者様からダイレクトメールがありました。

最近気になったのが、2社からスマホのガラスコーティングについて引き合いがあったことです。1社はダイレクトメール、もう1社はお電話です。それぞれダイレクトメールの内容と、業者様のウェブサイトを拝見して検討しましたが、当店ではそれらのコーティングを扱わないことに決めました。

保護フィルムや強化ガラスも扱っていませんが、これらを扱わない理由は明確で、iPhoneに限っても在庫が膨大になるからです。また通販や雑貨屋さんなどで入手もしやすく、当店で扱わなくてもよさそうです。それに比べて、ガラスコーティングは1種類の液体を保管しておけばよく、在庫の問題はありません。施工も簡単で、キズなどの表面の保護に関しては一定の効果があるものと思われます。

ではなぜコーティングを扱わないかというと、保護フィルムや強化ガラスと同様に画面割れから守ってくれるかどうか確信が得られないというのが一つです。コーティングした画面をハンマーで叩く実験などで、衝撃による割れから守ってくれるという触れ込みを見たことがありますが、割れた画面はたいてい中央でなく、角からひびが入っています。角からの衝撃から守るのはコーティングではなく(保護フィルムや強化ガラスでもなく)スマホケースの役目です。また、私自身もスマホを落としたことがありますが、貼っていた強化ガラスが身代わりとなって割れて、結果として本体の画面を守ったことがあります。コーティング材はあまりにも薄く(メリットでもありますが)、画面への衝撃を吸収することも、身代わりとなって割れることもできません。コーティングがどんなに丈夫であっても、画面に対する衝撃を相殺するには、ある程度の質量が必要なはずです。

また、費用対効果の問題もあります。スマホ片面へのコーティング剤の施工はだいたい3,000円~5,000円程度ですが、当店でのiPhone 7/8のフロントガラス破損の修理は7,000円です。まだ割ってもいないのに、割れたときの修理費用に近い価格を請求して、コーティングを施工することはあまりお客様の理解が得られそうにありません。かといって、施工費用を下げると採算が取れなくなります。コーティングの業者には、液剤の費用だけでなく初期費用も払わなくてはならないからです。

あとは、正直に書きますと、私が単純に効果を怪しんでいるからという理由です。コーティング材の触れ込みに書かれている用語をWebで調べましたが、客観的な論文などに当たることができませんでした。正当な研究がされているものなら何かしら論文でもあるかと思いましたが…。また、お電話いただいた業者様のものは、スマホ以外でもほとんどのもの(靴やカバンなど)に施工できるということでしたが、それほど万能な液体なら、もっと世間に知られているはずです。ある面で万能な液体と言えるものは確かにありますが(醤油やエタノールのように)、それらを知らない人はいません。

これらの理由で、当店ではコーティングを扱う予定は今のところございません。もちろん、扱っている店が悪いだとか、コーティングをしない方がいいという意図ではございません。iCRaFT系列でも扱っている店舗もございます。ただ、福井問屋町店としてどうすべきか一人で考えた結果にすぎません。

スマホは平坦で面積も少ないことから、ご自分での施工も簡単ですので、市販のコーティング剤を試しに使ってみるのも手だと思います。極端に高価なものを選ばない限り、3,000円もあれば数回施工できると思います。しかし、今調べただけでもアフィリエイトやステマばかりで、口コミの評判はあてにできそうにないですが…。それだけでも、コーティングは扱いたくないなと本音では感じてしまいます。