オークションでジャンクを買うということ
iCRaFT福井問屋町店では、壊れてしまったiPhoneでも買い取らせていただきます。主に修理の研究と部品取りのため、どんな状態のものでも歓迎いたします。
それでもまだ数が足りないので、オークションでもiPhoneを購入することがあります。当店は修理店ですから状態のいい物を買っても仕方がないので、液晶が割れているだとか、バッテリーの劣化が激しいなど、何かしら具合の悪い物を仕入れるようにしています。これを修理部品を用いて修理し、使えるようにするという研究をするわけです。もちろん直せないものもありますが、晴れて使用可能になったものは、中古品として店頭に並べております。
オークションでは、具合の悪い品物はほぼジャンクとして出され、当然ながらノークレームノーリターンです。したがって、競り合った価格ほどの価値を見出せない危険が常にあります。そして、出品者も正直に状態を報告してくれるとは限りません。評価に関係するのであからさまな嘘をつく出品者は少ないと思いますが、先日入手したiPhone8は、バッテリー以外の不具合はないと聞いていたのでバッテリーを新品に交換し、リアカメラを確認すると焦点が合わず常にぼやけた状態になっていました。幸い、iPhone8のリアカメラは部品が余っていたので修理することができました。
同じ日に手に入れたiPhone Xは、タッチが反応しないということで、液晶パネルを交換すれば直ると甘く見積もって落札し、パネル交換の作業をしましたが、やはりタッチが反応しません。デジタイザの端子に接点復活剤を吹き付けてもだめで、これはロジックボード(基板)の不具合の可能性が高いと思い、自分での修理を断念しました。その液晶パネルには、当店と同じような総務省登録修理業者の登録番号のシールが貼られていました(調べてみたところ大手フランチャイズです)。出品者はiPhoneを大量に出品しており、明らかにこの道のプロであることが見て取れました。もしパネル交換で直るのであれば、出品者は直してからオークションに出したはずです。パネルを交換しても直らなかったから、それを隠してジャンクとして出品したようです。わたしは見事にやられました。
わたしのミスや過度な期待もあるのですが、オークションでは落札価格に見合った価値を得ることはなかなか難しいです。当店だけでなく、多くの業者がiPhoneを買い取るのは、それを使っていたユーザーから買い取るのが最も状態を把握しやすく、より多くの価値を生むことができる(みな儲けるためにやっているのだから当然ですが…)からだということが理解できました。